2012年5月30日水曜日

法衣に平安の決意

昨日29日は龍谷大学付属平安中学・高等学校の塾対象説明会。いつもは学校で実施されるが、今年は校長が変わり入試・募集の執行部が刷新されたので、そのお披露目も兼ねて市内のホテルで実施される。

高校入試は値頃感のある龍谷大学付属人気と国の就学支援金、府の「あんしん就学支援制度」の効果でしっかりと受験生・入学生を集めている。ここ数年は京都の勝ち組高校の一つに必ず入っている。

しかし中学校は必ずしも成功しているとは言えない状況。失礼ながら6年預けて龍谷大学ではコストパフォーマンスはいいとは言えないし、中学3年間は国や府からの補助も一切なし。つまり中学で集められないと言うことは、授業料を全額出してまで行かせる進学校としての価値はない、と評価されているということだ。この様な状況のもとで国や府の施策が変化すれば、高校の人気もどうなるか分からない。

多分そのことに気づいているのだろう。この際大胆な執行部の責任者の変更とシステムの変更があった。ここ数年「変える、変わる」と言っていたが、実際そう変化がなかったのが正直なところ。特進クラスであるプログレスコースも進学実績で大きな変化はここ数年なかったし、中高一貫コースの座標も明確ではなかった。

今回は各コースの色分けを明確にして、アスリートは「目指せ甲子園」、クリエイトは「めざせ龍谷大学のリーダー」、プログレス、中高一貫は「目指せ国公立、難関私学」となった。各コースの役割を明確化することによって、「龍谷大エスカレーター、支援金」バブルからの脱却を狙っているのだろう。

中高一貫、高校入試の責任者も若い先生に変わり、緊張した面持ちで説明をされる。情熱と誠実さを感じ好感が持てるとともに、今回は本当に変わるだろうと予感した。

説明会の最初には法衣を着た前校長が相談役として挨拶をされる。宗教校としての平安の理念、指導をはっきりと打ち出された。ここまで明確に宗教校を全面に出された挨拶は少なかったように思う。私は京都の宗教校はもっと宗教色を前面に出されてもいいと思っていたので、わが意を得たりとしっかりと聞かせていただいた。だって、宗教の話しをしない宗教校なんて実は存在意味がないでしょう。やはり法衣を着た新任校長も子ども達に「宗教的な物の見方」を身につけて欲しいと言っていた。他者の命を尊重し、自らの命を大切にし、そして自らの天命を知り、それに向かって強く努力できる子が育てば宗教校の理想なんだが。

後、塾の先生を立てる表現もちりばめられていた。今までの口の悪い渉外担当の先生(いえ、私は好きなんですが)から比べれば、塾の先生がた大いに満足されていたでしょうね。

あれもこれも、新任のやり手経営企画室長・校長補佐の先生の戦略でしょう。だから今度は確実に変わるはず。



2012年5月28日月曜日

先生と呼ばれる怪物

昨日27日は、関西私塾の会の定例会プラス勉強会。これからの会の運営や、当会主催・後援の進学個別相談会についてのあれこれを話し合う。その後が勉強会。

勉強会のテーマは多岐にわたる。各塾の実践報告や、私学の先生を招いての指導法の講演もある。

今回はプロのコンサルタントにお願いしてのマナー研修。

塾長であれ講師であれ、一般企業に勤めることなしに塾の先生となった者は、世間で常識の「新入社員研修」と言われるのを受けた経験がない。しかし先生と呼ばれれば、その日から教室では「王様」だし、保護者もわが子のために遠慮していろいろと我慢される。結果、世間常識もわきまえない「先生と呼ばれる怪物」が業界にのさばる。聞けば学校の先生も新人研修というのはないところが多い。故に「学校の常識。世間の非常識」が生じるのだろう。

それではならじと名刺の出し方、お辞儀の角度等接客マナーについての基本から学び、そしてマナー、すなわち世間常識は何のためにあるのかを知り、保護者対する今までの態度を振り返り、塾生に対しても先生が節度ある態度で接し、今度は塾生に対しマナーは何のためにあるのかを伝えるべく今日の研修となった。

さらには日常上から目線でとやかく言う職業なので、時には逆にいろいろと指導されるのも子ども達の痛みを知る上でいいかなと、という狙いもある。

やってみて正解。皆さん本当に真剣。当会の先生方はまじめなんだと再確認。3時間の研修だったがだれることもなしに集中して聞いている。前に出ての実技指導やロールプレイングも真剣そのものだった。

講師の先生も素晴らしかった。内容もさることながら、相手を説得する話術も勉強になった。

お辞儀の仕方。右の先生にだめ出しをする講師。

今回のマナー研修は接客業としての経営的見地からの研修の面ももちろんあるが、それ以上に人を大事にする事はどういう事なのかを学んだ気がした。

学校の先生方、自校で一度やってみられたら?はい、私たちいろいろ保護者から聞いていますよ!



講師が保護者になって接客を研修するロールプレイング。
自分のやっている事を客観的に評価される場合ってないですよね。

















追伸  以前非常識きわまりない先生が奈良のとある学校にいたと書いたところ、奈良の他の学校から誤解を招くとのご指摘がありましたのでこの際校名を明らかにします。はい「奈良学園」です。その先生と今日一緒に研修受けたかったなぁー。
http://yoshicho.blogspot.jp/2012/02/blog-post_14.html

2012年5月18日金曜日

創立者も納得

昨日17日は南京都高校の先生2人がお越しになられた。両名とも旧知の間柄ともいえる先生だが、今日は少し緊張しての来訪、に思えた。

来年度より校名変更。その名も「京都廣学館高等学校」。そのポスターを持ってきていただいた。緊張というか、興奮気味だったのかも知れないな。

今は亡き創立者本部廣哲先生に縁ある新校名らしい。創立者の理念を引き継ぎながら、今の時代にふさわしい学校づくりを目指したいとの思いが、この名前に込められているのだろう。

できあがったポスターを見れば「ああそうですか」と、第三者には見えるかも知れないが、付き合いの長い私とすれば、校内では相当紆余曲折、侃々諤々の争いのあったこと、想像に難くない。「校名を変えずに中身で対応せよ」、との守旧派の声もあったはずだ。

しかしここ数年の南京都の変化を見れば、手あかと偏見(失礼)に満ちた校名を変えるのは必然であったと私は思う。校名には歴史があり、学校の理念そのものである場合もあるので、部外者が必然であると言うのは無礼千万であるかも知れない。しかし、もはや公立の受け皿校ではないし、また内容的にも公立ではまねのできない面倒見の良さがあり、それ故大学進学実績も伸びてきている状況の中で、「南京都」という校名だけで、世間一般にいつまでも底辺校(失礼)と評価されるのは得策ではなかろう。
おみやげにいただいた「廣学館クッキー」
熱く優しい味がします。

校名変更に際し、従来のコース制も手直しされるようだ。話しを聞けばいちいち納得できる。そして単に進学校に様変わりするのではなく、やはり「やり直し校」として、中学校の時に勉強しきれなかった子ども達の面倒を見ていくのも、自分たちの存在理由だと話される。これこそ創立者の理念。

少し硬い響きのする新校名だが、創立者の熱く優しい思いが確実に込められていると思う。

2012年5月11日金曜日

公立を定員割れに陥れた「躍進」学校!?

今日10日は京都橘中学校・高等学校の「入試結果・進路結果報告会」。分かりやすく言えば「塾対象説明会」。業界用語で言う「塾説」。

今シーズン初めての塾説になる。

会場で久しぶりに顔を合わせる塾の先生方とは「お久しぶりです。今年もお互い頑張りましょう!」のやりとり。「塾生募集に頑張りましょう。」なのか、「塾生達の志望校合格に頑張りましょう。」なのか、「塾業界人みんな朝弱いけど辛抱して塾説頑張りましょう。」なのか分からないけど、とにかく頑張りましょうでシーズンイン。

昨年の「大躍進」千社札
昨年のこの報告会は「大躍進!東大・京大合格!」で終始したような(ちょっと言い過ぎか)はしゃぎすぎの感じがしたが、今年はさりげなく(いや、そうでもなかったか)京大・阪大4・神戸3・広島、国公立合格39との報告。現役合格率は90%と結構高い。

今年こけるのと、伸びるのとでは去年の東大の評価が大きく変わると思っていたが、今年の実績で昨年がまぐれでないと証明された。先生方もほっとされたことだろう。今年も東大を受けた生徒がいたらしいが1.3点及ばずで不合格だったらしい。残念!

報告会は聞き手をよく意識して、すなわち塾の先生が聞きたいところを想定してよく練られたものだった。塾説の資料がいいことと学校がいいこととは直接関係ないかも知れないが、相手の立場になって突き詰めて考える姿勢は、生徒、保護者に対しても同様であるはずだ。塾説の資料からでも、面倒見の良さが伺われる。

今春の入試は志願者が昨年比565名増、入学者も124名増と大盛況(言葉の選び方が不適切かな)だったらしい。校長は、京都府の『あんしん就学支援制度』等の浸透で他校も入学者を増やしているので、慢心してはいけない、と言っていたが、まさにこの危機感こそが京都橘の躍進の原動力だと思う。(でも少しにやけておられたが)

説明会の後半は国公立進学コースの先生と、中学部の担任による授業の実践報告。少し時間が長い気もしたが、若い先生が熱心に報告する様子は好感が持てたし、内容も納得できるところが多かった。こんだけまじめならそりゃ生徒もついてくるだろう。

来年は中高一貫生が初めて高校に上がってくるので高校からの募集定員が減る。進学校として評価も上がってくる中、定員減となるとさて来年の合否ボーダーはいかに。橘を志望校にする皆さんはしっかりと勉強する必要がありますよ。



みんな明るいです。これもこの学校の校風かも。
 
説明会の後は授業見学。皆さん明るくまじめに授業を聞いていました。授業態度で心配するような学校では、もはやありません。すれ違う生徒も「こんにちは」と挨拶をしてくれる。

写真は中学1年生の社会の授業。当学園の卒業生もいます。私の顔を見て目が点になっていました。嬉しかったのか、逃れられない絶望感を持ったのか…

2012年5月2日水曜日

やはりと言うかついにと言うか

世の中ゴールデンウイークの真っ最中。去年も書いたと思うが、28日の土曜日を保護者参観日にして、その代休に5月2日を休日にし、4連休にした中学校がある。

できるだけ連休をつながせたいとの目論みであろう。「学校よりは休日が大事という価値観を持つ一部の子どもとその保護者に迎合し、さらにそれが先生自らの要求と合致した結果であるとするならば、それは教育現場の敗北である」、と昨年このブログでイヤミを言えば、まことにその通りと、ある公立高校の先生から賛同をいただいた。

私学を見よ。大阪桐蔭は新学期の学習合宿が終わって、せっかく身につけた学習習慣と学習意欲がこの連休で失われることをおそれて、連休中にも登校させているぞ!しかし、これもやりすぎかもしれないが…

当学園はカレンダー通りの休日。別に普通にみんな出席しているんで、そんなにゴールデンウイークだからと時間割を触る必要はないと思うんだが。

学生の間は学校、勉強ありきで日常生活もそれに合わせるべきである。また保護者も子どもが学生の間は学校、勉強を優先すべきだ。一方で学力をつけて欲しいと言いながら、他方で学校を軽んじるようであるならばそれは矛盾以外の何ものでもない。

ゆとり教育見直しの時代、某市立某中学校には土曜参観も実施するが、休日も増やさないぐらいの主張があって欲しいと思うのだが…きっと労働条件云々の先生がいるのでしょうな。

さて今日は太成学院大学中学が来年度募集を中止するとのお知らせが来た。早い話閉鎖ということ。何か悲しくなるような簡単な文面。噂には聞いていたが、やはりと言うかついにと言う感じ。

高校は国の就学支援金や府県単位の支援制度で所得の低い家庭にも私学進学への道は残されているが、いわば贅沢品の私立中学は一切の援助なし。この経済状況の中、私立中学全般、特に大阪は募集が厳しくなっていた。

以前より私立中学入試は二極分化が進んでいたが、不思議と潰れないのも教育業界だった。しかしそれが現実となった怖さがある。実入学者のデータを見れば、ここももたんやろという学校はまだある。

一般企業のように、ある朝社員が出社してみれば、入り口が閉鎖されていたなんて事はなかろうが、多分卒業まで保証するとは言うものの、どれほど面倒見てくれるかは不安だ。おそらく中学部の人員整理が始まり、教員の流出が始まるはず。

そんな様子を保護者が見れば、ここ数年募集が芳しくなかったところは来年はさらに敬遠される。結果、募集中止への臨界点を超すのはあっと言う間だ。

私たち塾も学校経営面での情報を集めて保護者に伝える必要性も出てくる。

今回の募集中止は単なる一中学の募集停止にとどまらず、業界全体に大きな影響を及ぼす可能性があると思う。

春恒例、2024年山城通学圏普通科中期選抜回し合格相関図

  春恒例、2024年山城通学圏普通科中期選抜回し合格相関図です。 昨年度とほぼ同様に上位校(大住学園が考える難易度順)からきれいに他校へと回っています(横方向)。そして第2順位への出願の仕方も一つ飛ばしで選択するのが確立したようです。城南菱創⇒西城陽、西城陽⇒久御山など。 が、...